落語の「玄冶店」も面白い(2)

今日の圧巻は、雲助さんの「玄冶店」。芝居でお馴染みの「源氏店」とは、噺の運びがちょっと違う。
今日は、「玄冶店」の前段の説明から噺が始まる。
赤間(雲助さんの発音だと”あかんま”と聞こえた)の親分に、密会している所を見つけられてしまい、与三郎は刀で全身を傷付けられる。この様子を見るに耐えなくなったお富は、海に飛び込んでしまう。一方、与三郎は、とどめを刺される寸前というところで、隣家の親分?が止めに入り、叔父の藍玉屋に俵にくるまれて担ぎ込まれ、100両をかたにその身を引き渡される。医者の手当により、一命はとりとめたものの、顔から足まで三十四箇所の傷は、醜い跡となって残ってしまう。この一件を知らされた与三郎の両親は「心配だから、一時も早く帰って来い」と言って木更津から、鼈甲問屋を営む日本橋横山町の自宅へと引き取る。
家に戻った与三郎は、心を入れ替えて、そろばんの練習をしたり学問をしたりして過ごすが、何しろ醜い傷が残ってしまった顔を恥じて、家からほとんど出なくなってしまう。
3年経ったある日、そんな与三郎を案じた父親が、10両という大金を小遣いとして与えて「今日は花火も上がれば縁日の夜店も出ているから、この金を持って遊んで来なさい。鰻でも食べて、深川あたりで芸者を揚げて、なんなら泊まって来てもいいんだよ」とまで言う。
本当は、傷だらけの顔を人込みにさらすのがいやで、与三郎は断りたいのだが、両親の、自分の身を案じてくれる心を思うと、無下に断れず、結局出かけることにする。