相変わらず『JAMJAM日記』

持ち歩き本にすると、よほど先が気になる小説以外は、かばんに入れっぱなしになる。で、持ち歩いた先での読書時間も、通常は地下鉄の待ち時間+乗車時間+α程度なので、そんなに捗らない。でもまぁ、たくさん読むことが良いこととは思わないから、まぁいいのだ。気持ちとしては、読みたいけど、あれこもこれも。
昨日も、殿山さんの日記で、いろんな人や本にひっかかった。まずは、久保田万太郎戸板康二先生。1976年4月のある日、殿山さんが、千石の三百人劇場で劇団マールイの公演を見ている。その日の上演作品が、このお二人の作。

久保田万太郎・作「十三夜」では昔の東京弁にオレはすぎし遠い日を思い、戸板康二・作「肥った女」にはヒクヒクと笑った。

とある。そういえば、先日読了した関容子さんの『女優であること』に、丹阿弥谷津子さんも登場していたなぁ・・・。と、こんな風に芋づるでつながるのが、また本を読む楽しみ。
お次は、高峰秀子わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)』。以前、高峰さん本人ではなく、川口松太郎さんのことを知りたくて『人情話松太郎 (文春文庫)』を読んで、興味が出てきて「ブ」で探して、結局積んだままになっているのだった・・・。殿山さんが

高峰秀子さんの本は、前にも、ヨーロッパの旅行記みたいなものを読んだ記憶がある。小学校もろくに行かれなかったそうだけど、その知的なセンスはすごいね。学校なんかいらねえんじゃねのか、文部省のオヤジサンよ!!                    P.76

と書いておられるけれど、結局、大学を出てもセンスがない人は、ないんだよなぁ・・・。自戒を籠めて。
あとは、田中小実昌さんの『自動巻時計の一日 (河出文庫)』、加藤武『昭和悪友伝』(別の日、この本の出版記念会の受付で、小沢昭一さんが女装していらしたという記述が・・・笑)、佐藤重臣阪妻の世界』、五味康祐『興行師一代』(「ヤクザが相手の家に入るとき、相手を殺すとかイチャモンをつける場合には、右足から敷居をまたぐと書いてあった。ヤクザ物もやる役者のくせに知らなかった。こんなこと学校で教えてくれるか? くたばれジジイ!!)、柴田錬三郎眠狂四郎』などなど。
人では、まぁ、いろんな人が次から次へと登場するのだけれど、その中でも気になったのが、山形勲さん。六本木ヒルズができて、跡形もなくなくなってしまったとのことだけれど、永井荷風が仕事場にしたり、食事に行ったことで知られた山形ホテルのオーナーの息子さんが、山形勲さんだったというのは、川本三郎さんと坪内さんの対談で聞いた話なのだけれど、山形さんのお父さんの波乱の人生を殿山さんが聞いて、びっくりして書いていらっしゃる。

大正6年ごろオープンし約15年間営業して昭和の初期に廃業したという。ホテルの主人は奈良県の人で、これが5歳のときに大阪で人さらいにあってサーカスに売られ、世界のアチコチを転々とし、ベルリンで日本婦人と結婚し、ロンドンで男子をもうけたのを機に、長年のサーカス暮らしで蓄財もあって、祖国へ帰り外国語の使える商売というのでホテルを開業したという?。こんなことを書いたのは、きょうNHKテレビの土曜ドラマの本番があり、そのVTRの合間に、一緒に日ごとをしていた山形勲から、おれはロンドン生まれだといわれてビックリし、子供のときに永井荷風直木三十五を見かけたことがあるといわれてビックリし、そして<山形ホテル>の由来を聞いたからなんだ。                             P.128

なんか、この話だけでも小説やドラマになりそうですなぁ。久世光彦さんが書いた『一九三四年冬―乱歩 (新潮文庫)』を読んで面白かったので、久世さんが、こちらの話も書いて下さらないものだろうか・・・。
そして、玉三郎さんまで登場! NHKの人形劇「たけくらべ」で、声の共演をされたとのこと。殿山さんと丹阿弥谷津子さんが夫婦で、玉三郎さんがその息子の信如、美登利が十朱幸代!という配役だそうだ。これって、見たっけかなぁ・・・。
ということで、どんどん芋づる&山脈が広がっていきそうな気配だ(汗)。