『お能・老い木の花』2007_14
白洲正子さんがお能の”入門書”として書かれた「お能」と、白洲さんのお師匠さんだった二代目梅若実の聞書き、それに、友枝喜久夫さんの芸について書いた「老い木の花」が収録されている。白洲さんのお能への思いが伝わって来て、読んでいると「あー、お能も面白そう。見てみたい!」という気分が湧いて来る。
「お能」の中にも、師匠の言葉が紹介されているのだけれど、聞書きになると、これぞ”東京っ子”という、実さんの言葉遣いと(お能の名人だというのに、くだけた口調なのが、意外)、名人だからこその至言、かつてのお能の空気みたいなのが伝わって来て、「やっぱり、名人の芸談を、上手な聞き手が聞くと、面白いな」と思った。そして、初代は芝居や寄席にもちょくちょく出掛けたそうで、圓朝がご贔屓で、最後は木戸御免になったほどだという。圓朝が「自分がこういうものを持っていても仕方ないので」と言って、面が贈られたそうだ。最近『圓朝ざんまい』を読んだばかりなので、思いがけない芋づるだ・・・。
「老い木の花」は、最近のお能マイブームで、いろいろ調べた本の中に、渡辺保さんが友枝さんの仕舞について書いた本があり、お名前は知っていたのだけれど、白洲さんの筆によって、友枝喜久夫という人の芸がふわーっと浮かび上がって来る(お能のことはわからないけれど、なんとなく、こんな感じ?というのが浮かんで来る)。単行本には、他にも友枝さんについての文章が収録されているそうなので、それも読んでみたいなぁ。
そして、この本の解説が、渡辺保さんで、こんなところでも芋づるが・・・と、ちょっとびっくり。でも、考えたら、友枝さんの本を書いた渡辺さんだから、解説を担当されたのも、当たり前か・・・。
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能のドラマツルギー―友枝喜久夫仕舞百番日記 (角川ソフィア文庫)
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