いつか前へ進むための一冊(2)

この本の導入としては、非常にわかりやすくかつ、端的にテーマを示しているのがこの「植草甚一的なるものをめぐって」であろう。

以下、どれも興味深い人物とそれらの人々をめぐる論考が続くが、読み手のわたしの力不足で、あとがきで坪内さんが書いておられるような
<b>この本は未完成な本である。そして「幻の一九七九年論」たるこの本を完成させるのは、この本を通読し、何か(傍点付き)の考えのきっかけをつかんでくれた(はず)の、読者ひとりひとりのその読みの力にゆだねられている。</b>
に答えることは、まだかなわない。

東京堂書店について」で、坪内さんにとって、東京堂という書店がどんな存在であるか、東京堂のどんなところがいいのか、ということを、彼の書店遍歴?の中で通り過ぎてきたいろいろな書店の思い出とともに語れている。その中には、あの、京都の三月書房と並んで、往来堂高円寺文庫センターも出てくる。この3軒は、やはり一度は行ってみないと、と思う。さらに、安藤さんが動きはじめたことで、どんな街の書店が生まれるのか、楽しみである。これも、何かの縁だろうか?