古本屋が主人公ならではの『ドールズ』(2)

浮世絵モノですでにその片鱗をあらわしていた、高橋さんの博識と綿密な調査力が、見事にこの作品にも活かされていて、ともすれば、単なるおどろおどろしい話で終わってしまいそうな「生まれ変わり」の物語に、リアルさを加えている。特に、主人公の風俗関係を専門とする古本屋という設定が、随所に活きていて、少女に取り憑いている生まれ変わりが誰なのかを調査していくところが、読む者のワクワク感になっている。
結末は、いかにも続編がありそうな終わり方なのだが、いやらしさは感じない。むしろ、次の作品(『闇から覗く顔』)を早く読みたくなる。

ちなみに、福田さんは『ドールズ』には71点を、『闇から覗く顔』には58点をつけている。13点の差があるのか、あるとしたらそれは何なのかを確かめるためにも、近々、続編の方を読んでみたい。