わたしのきもの道は、中野翠さんがお手本

仕事のキリが付いたところで、いつもの本屋へちょっと偵察に。
文庫の棚で林真理子『着物の悦び きもの七転び八起き』(新潮文庫)を見つけてしまった。中野翠さんの昔のコラム集を、立て続けに2冊読んだら、中野さんがずーっと銀座に行くたびに、そのショーウィンドーの前に立ち尽くしていたという呉服屋さんに、一緒に行ったのが、林さんだということを読んだばかりだったので、タイムリーな発見。

林さんと中野さんのきものの趣味は、かなり違うらしい。それは、お二人のキャラクターの違いを見れば、なんとなくわかる。
中野さんは、最近きもの関係のムックに珍しくお写真入りで登場していらして(といっても、小さな写真で、好みのきものについては、自筆のイラストなのだが)、古着というかアンティークがお好きとのこと

着物初心者だったころの林さんは、わたしが今、迷い込んでいるようなところをやはりウロウロとしていて、ちょっと安心。きもののお値段はまったく違うのだが、初心者が陥る悩みとか間違いというのは、やっぱり同じようなことなんだ、と。

林さんの着物は、写真で拝見すると、とても趣味のいい着物。ご本人も書いていらっしゃるが、お顔立ちが派手なので、シックなものを着ても存在で目立ってしまわれるのだなあ。
林さんは、どちらかというと、呉服屋さんに行って、きちんと自分に合ったサイズのものを仕立ててもらって着るのを良しとされている。そうできるにこしたことはないが、気軽にきものを着たいと思う人に、今の時代に、最初から呉服屋さんに行って、反物を見せてもらって仕立ててもらえ、というのは、ちょっと無理があるのでは? という気がする。わたし自身、アンティークやリサイクルのきものが、手ごろなお値段で手に入るということを知ったからこそ、きものを着ようと現実的に考えるようになったわけで、呉服屋さんに行くなんて、今のところちょっと敷居が高すぎて、ご遠慮したい気分だ。

奇しくも最近、髪をカットして、中野さんに近いスタイルになってしまったし、中野さんのイラストによるお気に入りのきものも、とても素敵だなと思う。もっとお金持ちになれたりしたら、林さん的な着物もいいなと思うけれど、今のところは中野さんのような路線で行きたいと、改めて思ったのだった。