「星野屋」の一中節

談春さんの独演会でうかがった「星野屋」に、一中節の「紙治」が出てくる。思わず「おー、なつかしい」と思ったのだが、ちくま文庫の『落語特選 下』で「星野屋」を読んでいたら、この件は、こんな風に書かれていた。

上手のほうを見ると、屋根船が一艘、すーゥー・・・・・・
「一中節の『紙治』だねェ・・・・・・~\さりとは狭いご了見・・・・・・死んで花が咲くかいな。楽しむも恋、苦しむも恋。恋という字に二つはない・・・・・・まったくだね、死んで花が咲くものか。ああァ・・・・・・(橋の下を見ながら)旦那ァ、あたし、おっかさんがいますからね。あの・・・・・・死ぬの止しますから、あの、失礼します」
麻生芳伸『落語特選 下』(ちくま文庫) P.40

この件をよんでいたら「しばらく、古曲も聴いていないなあ」なんて、思ってしまう。
ちなみに、藤原さんの日記によると、この「星野屋」という噺は、演者によって、心中を持ちかける理由が違うのだそうだが、『落語特選 下』に収録されているのは、談春さんのとはちょっと違う展開。