『能楽囃子方五十年』2007_032

十一世田中傳左衛門さんの『囃子とともに』を読み、NHKスペシャル「鼓の家」のビデオを探し出して見直して、としているうちに、「そうだ! アレがあったはずだ!!」と思い、積ん読の山を捜索して、掘り出したのが、亀井忠雄さんのご本。

能楽囃子方五十年―亀井忠雄聞き書き

能楽囃子方五十年―亀井忠雄聞き書き

土屋惠一郎さんと山中玲子さんが亀井さんに聞き書きした芸談です。
NHKの「鼓の家」のスタッフも、この本をかなり参考にしたのではないかと・・・。
お能について、詳しいことは何も知らないけれど、亀井さんが能楽囃子方として歩んでこられた道のりがどんなだったのか。どんな名人たちとの交流があったのか、というのがとてもビビッドに伝わってきて、面白くて一気に読みました。
最後の章で、これからのことについて、亀井さんが若い人たち、とくに国立の養成の学生たちに「とにかく、打てるようにしてやりたい」とおっしゃって、希望者で合宿(泊り込みではないけれど)をなさっているのは、ご自分が養成会でさまざまな大先輩たちからお稽古していただいたことを、また伝えていきたいからだとおっしゃってました。
一方で「藤田大五郎さんがお笛を吹くから、見ていきなさい」とおっしゃっても見ない若者が多いこと、合宿するからといっても亀井さんから誘うのではなくて来たい人はどんどんいらっしゃいということなのだけれど、なかなか自主的にやってくる人は少ない、といったお話も。
わたしだったら、どんどん行っちゃうけどなぁ・・・(笑)。
そして、囃子を打つためには「謡ができなきゃダメ」と師匠たちに言われていて、そういう修行をされてきたというのを読んで、あー、歌舞伎囃子だって、そうだよなぁ・・・と。唄と三味線が何をやっているのかがわからなくては、囃子は打てないものなぁ・・・。お稽古の曲、ちゃんと唄と三味線を覚えていかなくちゃなぁ・・・と、反省しました。