『無事、これ名馬』
宇江佐真理さんの本を久しぶりに。火消の頭と武士の息子、その家族たちとのちょっと変わった、でもあったかな交流を描いた作品。主人公の少年のお父さんの名前、どっかで見た記憶があると思ったら、解説を読んで、以前に読んだ作品の続編だったことが判明。
- 作者: 宇江佐真理
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/09/28
- メディア: 文庫
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火消の頭の家には、これまた複雑な事情があって、それが切ないなぁ。でも、そんな頭の家の事情を知ってか知らずか主人公の「たろうちゃん」がいい緩衝剤になっていたりもする。臆病だし、剣術も勉強もイマイチ、でも人柄はとってもいい、そんな「たろうちゃん」が成長していく姿は、すがすがしい。
女の嫉妬、年老いることの醜い一面、人の命のはかなさ、きれいごとばかりでない物語の中で、どれだけの人が「たろうちゃん」の優しさに触れて、救われたことか。人間はみな、弱い。だからこそ「無事、これ名馬」なのだ。
- 作者: 宇江佐真理
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/04/25
- メディア: 文庫
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