近代趣味人たちの「知恵の輪」

昨日は、久しぶりに青山の古書店を覗こうと、4時頃から出掛けた。
巽書店は休みだったが、中村書店は開いていた。
表の均一ワゴンをざっと見回して、ふと横を見ると、雑誌のバックナンバーがあった。
そこに、「彷書月刊」の90年代前半のものが30冊くらいあった。

そういえば、以前、坪内師匠が連載されていたことがあったはずだと思って、目次を見て行くと、94年の2月号に「極私的東京案内」というタイトルと1という数字があった。
これは、面白そうだと、94年の分を拾って行くと、9月号まではあったので、その8冊と「はたちの頃に読んだ本」という特集の92年1月号をを購入することにした。

今日の午後、買ってきた「彷書月刊」の連載を読もうと、2月号をまず開くと。特集「この本を見よ」の「続・鼎談『奇人たちのコスモロジー』」に、坪内師匠のお名前が・・・。
まずは、そちらから読みはじめると、これが面白い。
山口昌男さんと関井光男さんとの3人で、”奇人”たちがどこでどんな風につながっていたか、という話が展開されるのだ。
南天堂や泡島寒月の家に集った人々、紅葉館、また宮武外骨小林一三折口信夫渋沢栄一野依秀市梅原北明と益田太郎など、知った名前、見知らぬ名前が入り交じっているのだが、かつての知識人・趣味人たちの「知恵の輪」とは、こういうものだったのか、ということが窺われて面白い。
さらに、この辺から坪内師匠の『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』や山口昌男さんの『内田魯庵山脈』などが生まれているのかもしれないと思うと、わくわくする。

それにしても、この前編が掲載されている94年1月号を買わなかったわたしは、なんと間抜けなのだろうかと、自分で自分を呪った。
次に中村書店に行くまで、94年1月号が売れないでいてくれることを、祈ろう。ついでに、10月号以降にも、どこかで巡り会えますように。