仁玉コンビ+左團次さんで堪能した「御所五郎蔵」(4)

序幕と、この大詰めが出たことで、以前に二幕目だけを見た時には、もうひとつよくわからなかった、五郎蔵・皐月・土右衛門、そして巴之丞の関係が、よくわかった。
もともとは、六幕もある大長編なので、今回も土右衛門の妖術の件などは、唐突で驚いてしまったが、武芸者が妖術を遣うというのは、あながち馴染みのない話でもないので、それほど気にはならない。むしろ、左團次さんのしどころが増えて、わたしとしては、嬉しかった。
それにしても、江戸・明治・大正・昭和・平成と、歌舞伎や文楽が描き、受け継いで来た物語の土台は、実は、映画やドラマのストーリーと、変わらないということに、今さらながら気付いた。
「時鳥殺し」は、さしずめ「誰にも言えない」で一斉を風靡した”冬彦さん”ものに通じるものだし、「御所五郎蔵」も、ちょっと前の映画やドラマにありそうな筋立てだ、
歌舞伎は難しいと思っている人には、こういうたとえで粗筋を説明してあげると、案外楽しめるのかもしれないと思ったりした。