矢車会＠歌舞伎座

2日続けての、歌舞伎座詣で。今日は、富十郎さんが主宰される「矢車会」を、昼夜通しで。
この会の目玉は、やっぱり富十郎さんと鷹之資ちゃんの父子共演による「勧進帳」（昼の部）と「連獅子」（夜の部）。ほかに、それぞれ踊り2番づつというコンパクトな番組。
「勧進帳」は、吉右衛門さんが富樫！　富十郎さんの弁慶は、大昔に一度拝見したような気もするが、印象に残っておらず、ちょっとびっくりした。これまでに拝見した團十郎さんのとも、仁左衛門さんのとも、吉右衛門さんのとも違う弁慶さんであった。山伏問答の迫力は、吉右衛門さんがお相手ということで、すばらしい緊迫感だったのだけれど、富十郎さん、そこに力が入りすぎたのか、後半はちょっと辛そうにお見受けした。幕外の引っ込みも、飛六法というわけにはいかず・・・。だからといってダメ？と言われると、そうではない。いいものを見せていただいたな、という充足感は大いにあった。ただ、夜の部の「連獅子」は大丈夫？？？と、心配にはなったけど。
夜の部の「連獅子」は、皇太子殿下がご臨席だったそうで、道理で、SPがウヨウヨしていた訳だと、納得。後シテでは、なんと親獅子は1度たりとも毛を振らない、という結果だったのだけれど、鷹之資ちゃんがその分がんばって、一心に毛を振っていた。それを一畳台の上手奥側からじっと見守る富十郎さん。もともと踊りの名手として鳴らした方だけに、うれしくもあったろうけれど、毛を振れない自分の肉体への歯がゆさも感じられたのではないだろうか？　ちなみに、宗論には勘三郎・橋之助さんが登場。
その他の出演者を見ても、富十郎さんが鷹之資ちゃんと愛子ちゃんの将来を、彼らに託したいという思いが感じられた。