虎屋茶寮でお昼を食べて、影媛

国立能楽堂の企画公演で、馬場あき子さんの新作能「影媛」が上演される。新作能にはあまり興味がなかったのだけれど、原作が馬場あき子さんで、節付けと演出が玄祥先生ということで、チケットを入手した。
その前に野暮用で新宿伊勢丹へ。用事を済ませて、まだ少しだけ時間があったの、早めの昼食をとろうと、レストランシティにいってみたが、お目当てはどこもすでに行列状態だ。諦めて、能楽堂の近辺で何か食べようかと、地下へ下りたら、虎屋茶寮のショウケースに、山菜おこわが!席も空いているので、ためして見ることにした。
二段の丸いお重で供された山菜おこわは、下の段におこわ、上の段に付け合せが並んでいた。上の段の大きなおたふく豆、高菜など、どれも美味しいし、おこわも美味しかった。伊勢丹で食事をする時は、これはいいかも? 次回は、小豆粥を食べて見るのもいいかも。
で、国立能楽堂へ移動。作者である馬場さんのお話があって、中入。囃子方がいつものようにお調べのあと登場した。前半は、東次郎先生が扮する旅の連歌師の目の前で繰り広げられる歌垣だ。歌垣に参加する男女もすべて狂言方のみなさん。東次郎先生の謡と所作の美しさ、歌垣に集う男女のちょっとユーモラスなやりとりが楽しい。
シテは影媛。美しい女性。でもその名の通り、影を感じさせる。ツレとともに舞を見せたあと、ツレは幕へ入り、一人取り残された媛が橋掛で振り返った時の美しさと哀しみをたたえた姿に、囃子が見事に調和して、目も耳も釘付けになった。
玄祥先生にリードされた地謡もとても美しかった。が。これは、玄祥先生以外の人の地謡はちょっと考えにくいかも…。