談春さん三昧の贅沢な週末(4)

見ていると、あんこを全部食べて、残った餅を隠してあった袋から取り出した金をくるみ始める。一体どうするんだ?と思ったら、その餅を食べ始める。そのうち苦しみ始めたので、隣に駆けつけるが、西念は死んでしまう。
この金を黙って見逃す手は無いと、家主に「知り合いの寺があるから、あたしが弔いを出します」と言って、樽に死体を詰めて、長屋のみんなで寺に運ぶ。その寺へ向かう途中の地名を連ねるのが、志らくさんに電話で教わった道中。さっき電話で聞いたとは思えないくらい、すらすらと淀みなく語るので、びっくり。すると「ね、さっき電話で教わったとは思えないでしょ?!」とご自分からおっしゃる。この辺がいたずら坊主っぽくて、わたしは好きだなーと思う。

着いてみると、荒れ放題のひどい寺で、住職は酔っ払っている。適当にお経もどきをあげてもらった後、火葬のための切符を手に入れて、長屋のみんなにはお引取り願って、一人で樽をかつぎ、桐ヶ谷の焼き場へ。
腹のあたりを生焼けにしてくれ、というとんでもない注文をつけたのは、お腹の中にあるはずの金を拾いやすくするためだ。焼きあがりの時間を見計らってもう一度焼き場へ行くと、骨まで真っ黒になるほど、しっかりと焼きあがっているので、怒りながらも、金を拾うために骨を砕いてしまう。
こうして、得たお金を元手に、目黒の門前であんころ餅屋を始めたのが、名物小金餅の由来、というのが下げ。
酔っ払った住職の、誰が聞いてもあまりに適当なお経やら、長屋のみんなを追っ払うところやら、焼き場で骨を砕くところが、とても面白い。
家に帰ってから、矢野誠一さんの本で確認したら、この噺は、道中の部分が聞かせどころなのだとある。そんなところを、電話で聞いただけでやってしまうというのは、いい悪いは別にして、スゴいなあと、改めて感心した。

続いて、HPで予告されていた「怪談実話」。何が始まるのかと思ったら、談春さんが見聞きした怖い話が、いろいろと。途中で、照明を落とす演出もあったけれど、談春さん自身もおっしゃる通り、これはどうかな?という感じ。一番怖かった話は、誰にも言っちゃダメだし、どこかに書いてもダメとのことだったので、書けないけれど、怖いと同時に「ホホー」と思うような“ちょっといい話”だった。