「寿靱猿」幕見@歌舞伎座

今月も歌舞伎座の初日を通しで見物した。もちろん、三津五郎さまの本興行復帰初日を見届けるのが第一のお目当て。初日は、三津五郎さまが花道から登場されると、あとはほとんど三津五郎さまから目が離せず、舞台全体を見渡す余裕がなかった(^^;)。で、どこかで幕見に行かねばなぁとは思っていたのだが、まだまだ先は長いからなどと呑気に構えていたら、早くも1周間が経ってしまうことに焦って、本日、幕見に。
次に本興行に出演されるのは、早くても8月の納涼歌舞伎とのことでもあり、今月は、なるべく幕見に通わないとなぁ、と日曜日の「シューイチ」を見て思ったのだった。
それにしても、衣裳は軽めではあるけれど、小猿をおぶったり、抱いたりしなくちゃいけないし、花道の出から幕切れまで、ほとんど後見座へ下がっているということもない。大病からの復帰狂言としては、決して軽くはない演目だ。それを25日間踊ると決めたのには、家の芸であるということに加えて、それだけの自信もおありだったのだろう。とはいえ、やっぱりファンとしては、心配は心配、でもあるのだが。
初日は、揚幕が開く「チャリン」という音が聞こえた瞬間から、胸がいっぱいでドキドキ・ウルウルしてしまったが、今日はいくらか落ち着いて、舞台全体を観ることもできた。子猿を愛おしそうに、活き活きと踊っていらっしゃる姿を拝見するにつけ、舞台に帰ってきてくださったことに感謝の気持ちでいっぱいになる。
そうそう、初日、浅葱幕が切って落とされた時に、パッと目に飛び込んできたみっくんの頼もしい姿も忘れられない。そして、今日はまた、落ち着きが増していたような…。一所懸命に勤める若い役者さんは、舞台を踏めば踏んだだけ、何かを掴んでそれを自分の中に蓄えていく様が、日に日に目に見えて、それを愛でるのもまた、歌舞伎見物の愉しみだなぁ、と近年のみっくんを見ていて思う。
そして、今回の子猿ちゃんは子役なので、ダブルキャスト。初日は博多座の時にも子猿を勤めた女の子だったが、今日は男の子。どちらの子猿も可愛いし、しっかりしていて、三津五郎さまの復帰に華を添えている。
女大名は又五郎さん。この役はたいてい立役の方が加役で勤めるそうだが、品があって愛嬌もあるいい女大名だ。勘三郎さん亡き今、又五郎さんと組んで、いろいろ踊ってくださるといいなぁ…。

坂東三津五郎 踊りの愉しみ

坂東三津五郎 踊りの愉しみ