若山富三郎と六代目

高峰秀子が今度若山富三郎の女房役になる。(若山富三郎は深夜映画の「鬼一法眼」を見た時から六代目のようなものを持っていると見て感心した役者である。彼の談話を読むと六代目と親しかったらしい。六代目は下手な、又巧くても歌舞伎以外の役者を気嫌いし、或歌手が歌舞伎座に出た後、舞台にカンナをかけさせたという話がある。若山富三郎鬼一法眼の何処かに六代目の感じがあったのは当然のことだったわけだ。今度高峰秀子と組んでやる父親役はうならせてくれるだろう。
森茉莉 『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』P.10