髪結新三
「髪結新三」で、新三が住む長屋の大家さんが、新三に向かって何度も繰り返す言葉。星川清司『櫓の正夢』を読んでいたら、大田南畝の辞世が出て来て、その歌からこのセリフを思い出した。
時鳥啼きつる方見(かたみ) 初鰹 春と夏との入相の鐘
戸板康二先生が『すばらしいセリフ』の中で、この大家さんのセリフを取り上げていて、山口素堂の句「目には青葉山ほととぎす初がつお」を再現している、という指摘がある。青葉は縁側に置かれた盆栽、時鳥の鳴き声が聞こえるとすぐに、花道を鰹売りが出てきて初鰹を新三に売る、という仕掛け。
この芝居の本名題が「梅雨小袖昔八丈」だけに、黙阿弥が凝ったのかもしれない。
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